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2.3 研究の成果
これらの研究により以下の成果が得られました。その結果、実用的燃料電池が得られれば、燃料電池推進船が実現可能であることがわかりました。
(a)推進プラントの試設計
想定船の推進プラントの試設計ができました。
(b)効率
燃料電池発電システムのヒートバランス計算および推進システムの検討により、目標性能を満足する値が得られました。
燃料電池発電システム:45.2%(HHV)、50.7%(LHV)(発電端)
推進システム:40.5%(HHV)、45.4%(LHV)(推進軸端)
(c)排気ガス
NOx10ppm以下、SOx〜0ppm、HC〜0ppmを総合評価実験により確認しました。
(d)負荷変動性能
想定船のプラントは、運航時における負荷変動に追従可能であることを、総合評価実験およびシミュレーションにより確認しました。
(e)容積・重量(機関室)
燃料電池発電システムをパッケージ化して、後部上甲板に設置することにより、容積・重量をほぼ在来船と同等にできる見込みがつきました。
(f)安全性
既存の船級規則や陸上法規の考え方を基に設定した安全要件と、GO−FLOW法による安全性解析の結果、在来船とほば同寺の安全性を確保できる見込みが得られました。
(9)運転性
機関室を無人化とする見通しを得ました。
さらに、燃料電池推進船設計に必要なシミュレーションプログラムが得られました。
また、特許を3件出願しました。

 

2.4 燃料電池推進船実現の要件
本研究の結果から、燃料電池推進船の実現のために必要な主要な要件として、以下に示す事項があげられます。
(1)燃料電池本体に対する要件
(a)CO許容濃度のより高いPEFC現在、CO濃度については最大100ppmまで電圧低下を起こさないPEFCが開発されていますが、負荷変動中も安定的に運転を継続するために、改質ガス中のCOが500ppm程度まで許容できるPEFCが必要です。
(b)スタックあたりの出力がより大きいPEFC
配置スペースの観点から、1スタックあたり100kw以上のPERCが必要です。
(c)動揺・傾斜時にもスタック内に生成水が滞留しないPEFC
PEFCは運転温度が低いので、発電によって生成する水が滞留しないスタック構造とする必要があります。
(d)長寿命のPEFC

 

 

 

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